秋分の日を過ぎて季節が少し進み秋の匂いが感じられるようになりました。平素は世田谷北部病院の運営にご理解とご支援を賜りまして誠にありがとうございます。新年度がスタートして半年余りが経過しました。地域の皆様に信頼され、頼りにされる病院をモットーに、外科・内科・整形外科診療を積極的に展開しております。引き続きこの運営方針のもと職員が一丸となって取り組んでまいりますのでよろしくお願い致します。
<救急医療への取り組み>
当院では「救急医療の充実」をテーマのひとつに掲げて取り組んでおります。救急応需設備や医師の働き方改革にともなう制限がありますが、救急応需については成城消防署からの更なる期待、また地域の皆様の急な要請にも応えるべく職員一同協力しながら対応しております。平日日中の救急外来での初期対応は現在、救急医療対応経験の豊富な常勤外科医が、疾患にかかわらず初期診療を提供しております。病状によっては内科医・整形外科医と連携して診断・診療を進めております。7月からは救急専門医の先生方にも診療参加いただいており、よりいっそう救急医療の質の向上を目指しております。なお、高度でより専門的な対応が必要な場合は、一般的な対処ののち高度専門病院との連携により迅速に対応しております。
入院要請に関しては、積極的に応需する体制にありますので、在宅訪問診療の先生方また医院・クリニックの先生方におかれましては安心してご連絡ください。個別の様々な状況は常に存在しますが、その都度最善の方法を地域連携室交えて検討し、解決してまいります。
<外科系診療の提供>
もうひとつ取り組んでいるテーマが「外科系診療の提供」です。できるだけこの地域で気軽に受けられるものにしたいという気持ちがあり整備を進めております。外科では昨年度まで未整備であった最新内視鏡手術関連器材を導入し、いまや標準となっている鏡視下手術の提供が可能になりました。大学病院等では長時間の術前待機を余儀なくされる胆石症や鼠径ヘルニア、虫垂炎などに対しては当院で役割を十分果たせると考えております。また、思いがけない形で発見される胃癌、大腸癌の手術症例も少しずつ増えてきました。食思不振等の消化器症状がある場合は、是非積極的に当院にて検査を依頼して頂きたいと思います。また古い言葉にはなりますが、地域社会のなかで「がん難民」が生じないように進行・再発癌の治療、緩和医療、生活上のサポートを行っていきたいと考えています。病状や病態に寄り添ったかたちで診療を進めさせていただきます。
整形外科では専門医の先生方を中心に手術治療を展開しております。外傷にともなう骨折は常に突然で、患者様のみならずご家族も急な対応を迫られる場面が多くあります。できるだけ皆様の状況に沿うような展開で、ものごとを進められるように心がけております。整形外科外来は毎日開設しておりますので、どうぞお気軽に受診ください。
その他の外科系診療科につきましても皆様の声をもとにできるだけ体制整備を進めたいと考えております。
<脳神経・乳腺の専門医による診療>
病院に様々な患者様が来院するようになっていく中で、その他領域の診療についてのご質問を受けることも多くなりました。木曜日には東京科学大学(東京医科歯科大学が2024年10月より東京工業大学と統合して改称)脳神経外科より、また午後は日産玉川病院乳腺外科よりそれぞれ専門医に来ていただき、外来を開設しています。難治性頭痛やめまい、頭部外傷、その他検診などで脳動脈瘤を指摘された場合など脳神経系は是非木曜日午前をご活用ください。また乳房のしこり、授乳期のトラブル、乳癌健診などをお悩みの場合は是非木曜日午後をご活用ください。乳腺外科は女性医師ですので、乳房の悩みのみならず広く女性の立場での外科診療(肛門疾患など)も相談可能です。
<アドバンス・ケア・プランニング>
最近、厚労省・世田谷区ともに(超)高齢者社会が加速する中で、アドバンス・ケア・プランニング(Advance Care Planning; ACP「人生会議」)の啓発活動が進んでいます。こうしたことを踏まえ、皆様とともに地域医療を考えていきたいと思っています。院内に掲示物・パンフレット等ありますのでご参照ください。
<「One Team」の精神>
医療安全ならびに医療の質が問われる時代であることは明確であり、就任当初に掲げた「One Team」の精神を忘れずに、地域の皆様の健康を守るべく活動を展開し続けることにブレはありません。これから秋冬シーズンを迎え、感染症が気になる季節となります。手指衛生の重要性を改めてご認識いただき地域全体で予防をしてまいりましょう。引き続き皆様のご指導、ご支援をどうぞ宜しくお願い致します。
世田谷北部病院 院長 馬場裕之